Warship:G.F.


 最初に響いたのはパキパキという音だった。
 ひどく乾いたその音は断続的に唸りを上げながら、引き裂かれていく過程の証明となっていく。


 やがて音は鳴り止む。そして闇のように黒いそれを突き破りながら、溢れ出るように這い出てきたのは黄金だった。


 光を須らく反射するような、人を狂わせる美しい輝きをまとったそれに、ある種の背徳感のもとに触れる。その途端に黄金は形を失っていき、柔らかい白地の舞台の上で溶解した。


 あぁ――ため息が漏れる。


 黒と白と黄金が綯交ぜになり、完成していた世界はぐずぐずに崩壊していく。
 にも関わらずそれらは協調し、だが互を引き立て強調し、共生を目指し、一つの構成となる。
 そう、まるで大陸の隆盛。さながら峰嶺のごとくの光景に豊麗は上がる。


 あぁ、この世界が終わらなければいいのに――。


 だが、それではダメなのだ。確かに迎合の瞬間は美しい。
 しかし終わりに向かっていく経過こそが、最も完璧な、完全な美しさを持っているのだ。


 崩れ混沌とした世界に、白い槌が幾度となく打たれる。
 その度に潰れ、溢れ、零れ、壊れ、芸術から遠のきただの成分となっていく。


 切ない。無粋ではあるが、もしも言葉にするとしたらそうなるだろう。
 しかし、だからこそ映えるのだ。だからこそ栄えるのだ。滅びゆく世界を惜しみながらも、別れを告げながら磨り潰していく。


 あぁ、終わってしまう――。


 世界は朽ち果て闇に飲み込まれていく。奈落に落ちる友の手を、力及ばず離してしまうような無力感だ。
 切ない、あまりに切ない。だがそれが礼節なのだ。それがそうあるべきなのは問うべくもなく自明である。崩壊と消失をもってこの世界は完結するのだ。




 やがて全てが闇に還り、静寂が我が物顔で再び支配する。こうして一つの世界は終わりを迎えた。
 この余韻すらも、神は織り込み済みなのだろうか。なんと残酷で美しく、切ない物語なのだろうか。




 そうだ、もう一度、もう一度だけ会いたい。もう一度だけ壊したい。
 もう一度、あの黄金が溶けていく様をじっくりと鑑賞したい。
 あぁ、なんと欲の深いことか。なんと罪の深いことか。


 だが冒涜的なまでに美しく切ないあの世界が悪いのだ。この手を伸ばしてしまうのは、あの黄金のせいなのだ。
 我慢できない。止められない――!




 心の命じるままに、私は神に願った。





























 

「大将! 金華ウニの軍艦巻、もう一貫!」